「俺はデリケートなので、深夜バスの座席では酒無しでは絶対眠れない」、「なのでトイレ付きのバスじゃなきゃ駄目」などと散々言い張っていたが、バスに乗り込んで数分ですやすや寝てしまった。買い込んだ酒を飲む間も無く、目が覚めたら金沢駅に着いていた。旅情気分皆無。その一方、代理店営業のNさんは一睡もできなかったらしい。Nさんごめんね。
金沢駅で7時間の深夜バス移動を経た、脂で顔がテカテカのおっさん二人を、お茶屋さんのご長女の方が迎えに来てくれる。東京の打ち合わせでも一度お会いしたが、とても上品な方で、そのお茶屋さんや金沢という町の伝統や風情というものを感じる。金沢は戦時中でもアメリカ軍からの空襲を受けなかったらしく、今でも市街地に歴史的風情が残っている。空襲の被害や遺族も少ないことから外国人観光客も多い。しかも金沢は「景観条例」というものが日本で始めて制定された町らしく、景観を乱すような看板も張り紙もお店もなく、観光客も変にはしゃいだりせず静かに景観を楽しんでいて、「風情のある大人な町」という印象を強く感じる。

金沢のひがし茶屋街。まさに風流。街も観光客も景観を守ろうという意識を感じる。
お茶屋さんでの撮影・取材も二日がかりでなんとか終了。その後、お茶屋さんのご主人に招いていただき、主計町という茶屋街の川床で一席設けていただいた。「川床」は金沢の夏場に期間限定・時間限定で開催されている宴席で、川の上に櫓を組んで、その上で芸妓さん達のもてなしを受けながら加賀料理を楽しむという、風情の塊のようなイベント。その風流さとおもてなしに、Nさんともどもすっかり恐縮してしまった。
翌日から東京でまた仕事があるという事実から現実逃避するかのように、Nさんと金沢の夜の町に繰り出す。しかし繁華街の毒気に当てられ、すごすごと茶屋街に退散。小粋なお茶屋BARでしこたま飲む。隣の席に座っていた女形の役者さんと連絡先を交換し合うくらい、すっかり意気投合してしまった。普通に飲んでたら隣に着流しの女形とか芸妓さんとかが静かに飲んでいるなんて、東京じゃ考えられない。
翌日、将来移住してもいいくらいに金沢を気に入ってしまった僕は、バスで帰ると言い張る代理店Nさんを残し、後ろ髪を引かれながら飛行機で帰京。1時間で東京に着いた。取材旅行でへとへとだったので早々に仕事を切り上げ、今度はアルバイトN君を引き連れ五反田の居酒屋へ。前日の夜とのギャップがすごい。

金沢は人も街も本当に粋だった。お茶屋さんのみなさん、何から何まで大変お世話になりました。
新宿駅バス乗り場にて広告代理店営業Nさん。とてもこれから仕事に行くとは思えない格好。
目が覚めたら金沢駅に到着。とてもモダンな建物。

金沢のひがし茶屋街。まさに風流。街も観光客も景観を守ろうという意識を感じる。
偶然結婚式の列に遭遇。茶屋街を練り歩くセレモニー。粋だ。
茶屋街入り口にある理髪店「コールドパーマ」。名前が気に入った。バンド名にしたい。
翌日から東京でまた仕事があるという事実から現実逃避するかのように、Nさんと金沢の夜の町に繰り出す。しかし繁華街の毒気に当てられ、すごすごと茶屋街に退散。小粋なお茶屋BARでしこたま飲む。隣の席に座っていた女形の役者さんと連絡先を交換し合うくらい、すっかり意気投合してしまった。普通に飲んでたら隣に着流しの女形とか芸妓さんとかが静かに飲んでいるなんて、東京じゃ考えられない。
これが「川床」。風流すぎる。
楽しみまくる代理店営業Nさん。これは仕事です。


金沢は人も街も本当に粋だった。お茶屋さんのみなさん、何から何まで大変お世話になりました。
はじめまして。
金沢はよい街です。10年ほど住んでいましたが、味わうほどにその面白みにはまっていくはずです。その逆もまたありますが。
台風来襲直前でよい天気だったようですね。
ぜひ、今度はじっくりと観光で訪れることをおすすめします。
コメントありがとうございます。
そうですね。金沢は仕事じゃなくて、プライベートでじっくりまた訪ねてみたいです。
個人的には暗がり坂の雰囲気が好きでした。