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国語算数理科デザイン

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国語算数理科デザイン

日本を代表するグラフィックデザイナー、原研哉さんが著書の中でこんなことを言っていた。
「日本はもっとデザインの教育に力を入れるべきだ。マンホールの蓋が丸いのは四角いと蓋が穴に落ちてしまうからだということは、本来数学の問題ではなくデザインの問題なのである。」
まったく同感だ。学校には図工や美術の授業があるではないか、との意見もあると思うが、図工や美術は単なる造形を学ぶに過ぎない。デザインとはもっと本質的で観念的なものなのだ。
学校という教育機関は、子どもが大人になったときに必要な知識やコミュニケーションスキルを学んだり、生きていく上で知っておくべきことを学んだりするためのものなはず。だとしたら国語や算数と同じレベルでデザインを学ぶべきなのだ。日本がこれまでどれだけすばらしいデザインを世の中に送り出して、日本古来の伝統的な美意識が世界にどれだけ影響を与えたのかということを知ることは、とても大事なことなはずだ。

学校でデザインを勉強してみんながデザインできるようになったら、将来デザイナーの仕事が無くなってしまうのでは? との危惧があるかもしれないが、英語の授業を受けたからといってみんなが通訳や翻訳家になるわけではないし、算数を勉強したからといってみんなが数学者になるわけではない。要はデザインの「どうしたらもっと使いやすくなるのか」「どうしたらもっとみんなに伝わるのか」という発想は、足し算引き算と同じくらい大事なことで、デザインという仕事は自分の人生を賭けて取り組む価値があるんだよ、ということが子どもたちに伝わればいいのだ。「デザインの価値」というものを正しく学んだ子どもたちが大人になれば、今の世の中の知的労働に対する不当な金銭的評価も少しは軽減するに違いない。

ふざけたエントリータイトルだが、とてもまじめな話なのである。難しい元素記号を知っていてもデザインの黄金比について知らない人もいるし、原研哉は知っていても米村でんじろうを知らない人もいる。どちらが良いのかは個人の価値観もあるので一概には言えないが、間違いなく言えるのはどちらも知っている方がハッピーだということ。僕はこの年になっても、あの小さい机で小学生と一緒に勉強し直したいと真剣に思うのである。

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このページは、yamagraが2009年11月 9日 10:13に書いたブログ記事です。

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