ただでさえ忙しいのに、我が社の貴重な戦力であるアルバイトN君まで離脱されてはやばい。主力選手が故障したときのプロ野球の監督の気持ちってこんな感じなのだろうか...。何でも昨日の帰りの満員電車の中で、隣の人の肘がみぞおち辺りにクリーンヒットしたらしい。本気で喧嘩したら、俺ごときは一瞬で秒殺されかねないくらい筋骨隆々のN君を骨折させるとは、京王線おそるべし。

「ほっておけば2週間くらいで自然にくっつく」と医者に言われ、隣で普通に仕事するN君。日常生活に支障はないと言いながらも、自分のくしゃみで悶絶する彼を見ると、上長としては非常に心苦しいものがある。俺にできることは「このデザインは彼が骨折してまでやり遂げた生きた証である」とクライアントの心に訴え、デザイン案を通すことのみなのである。