僕らが学生時代にやっていたバンドは適当もいいところで、練習にギタリストがギターを持ってこない、練習の途中にメンバーが突如いなくなり、嬉しそうにGパンを買って帰ってくる、自分らの曲にも拘わらずエンディングまで曲を覚えられない、等々、とてもまっとうな社会人生活を送れるようなメンバーでは無かったのだが、今となっては税理士の卵や、社会保険庁の職員や、デザイン事務所の経営をやっているのだから、人間どうなるかわからないものである。

そのメンバーの中でも、税理士を目指しているU君は特にいい加減さで群を抜いていたのだが、その彼からまさか自分の領収証や売上管理のずさんさを説教されることになるとは、10年前の我々には想像もつかないことだ。ちょっと茶飲み話でもしに来た感じのU君が、僕の全く整理されていない一年分の領収書の束を見たときの表情は、バンド時代には全く見せたことのない真剣モードそのものだった。

U君に自分の今の事業形態、主要取引先などのヒアリングをされて、改めて自分の頭も整理された気がする。去年もっと小まめに帳簿をつけておけば良かった...とか思いつつ、「でも個人事業主のデザイナ−なんてこんなもんだよ」とU君に言い訳するもスルー。準備しなければいけない書類リストをメモらされる。この真剣さがあればバンドももっとうまくいったのではないか。とはいえ自分の節税対策のためのありがたいアドバイスもいただき、U君には本当に感謝です。

U君、俺らこの一生懸命さでもう一回バンドやんね？