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デザイン事務所はベンチャーではない。

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「デザイン事務所を設立する」的な話をすると「ベンチャー?」とたまに言われるが、それについてはかなり違和感を感じる。最近では「デザイン事務所」という言葉自体を聞く機会が減ってきて、単純に「制作会社」とか、さらには「ウェブ制作会社」という風に強引に括られることも多い。決してウェブだけを制作しているわけではないにも拘わらず。
実際Googleで「デザイン事務所」と検索するよりも、「制作会社」で検索した結果の方が圧倒的に多い。「デザイン事務所」→「ウェブ制作会社」→「IT企業」→「ベンチャー」みないな一連の思考の流れがあるようで、自分としてはデザイナーとしてのクラフトマンシップを忘れたくないと思っているので、デザイナーがデザイン事務所を設立するということは、靴職人が独立して街に靴屋が一店舗増えるというような感覚でいるのだが、世間はなかなかそうは思ってくれない。デザイナーも靴職人もパン職人も等しく「職人」で、昨日今日できた仕事ではなく遙か昔から人々の快適な生活を支えていたはずで、だからこそ時代がどんなに変わってもデザイナーの仕事は無くならないのだ。

別にウェブに否定的な訳ではなく、実際仕事の比率的にはウェブ8割、グラフィック2割くらいの比率なので、ウェブ制作会社と括られるのもあながち間違いではないのだが、デザイナーの矜持というか、ウェブだけではない、というスタンスはやはり崩したくないと思っている。

自分が昔所属していたデザイン事務所は最初3人の会社で、当然社員は全員デザイナーだった。段々人が増えていったが、社員10人くらいまでは全員デザイナーの会社だったと記憶している。しかし大規模な案件が増えればデザイナーだけでプロジェクトを廻していけなくなってくるので「デザイナーではない人たち」が必然的に増えてくる。ウェブサイトの構築は特にデザイナーだけでプロジェクトを完遂することが難しいので、それが顕著になる。「デザイン事務所」が「制作会社」になり、「ウェブ制作会社」になるのだ。

当たり前といえば当たり前の話なのだが、いまだに昔ながらのデザイン事務所に憧憬を抱いている自分がいるのも確か。自分がかつてそういうところで仕事をしていたので、なおさらその手の想いも強いのかもしれない。しかし靴工房とか自転車工房とかパン工房とか、そういう「職人集団」としてのデザイン事務所を作りたいと思うし、デザイナーとは本来そういう存在な気がする。デザイン事務所はベンチャーではないのである。

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このページは、yamagraが2009年10月22日 10:13に書いたブログ記事です。

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