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[column] 「機能」と「ビジュアル」のギャップの話

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ハチ公バス

渋谷区にはハチ公バスというバスがあって、区役所や区施設なんかを巡回しているのですが、バスの外観のデザインは渋谷のシンボルであるハチ公をイメージしたかわいいイラストが描かれているデザインになってます。長年渋谷、恵比寿近辺で仕事をしていた僕は街で良く見かけているのですが、正直な話、何度もこのバスに轢かれそうになりました。
こんなかわいいイラストが描かれたバスに轢かれて死ぬなんて末代までの恥...! せめて都バスで...! とか思ってしまいますが、今回のテーマは別にハチ公バスの運行や運転手さんに文句を付けたいという話ではなくて、ビジュアルと機能のギャップの話なのです。

というのも、人間心理的に「かわいいイラストが描かれているデザイン」 = 「子ども向けのもの」 = 「子どもでも操作できるロースペックなもの」という刷り込みがされているので、その製品が持つ本来の機能を見誤りがちになってしまうのではないか。F1マシンの前面にハチ公のイラストが描かれていたら、絶対遅そうだしドライバーも乗りたくないはず。
もてスリム
ちんたら歩いてたら轢き殺すよ (・∀・)

ハチ公バスは普通のバスよりも小振りに作られているし、フォルムも丸みを帯びている。それに加えて前面にはハチ公のかわいいイラストが描かれているので、勝手に「普通のバスよりスピードが遅そう」と脳が判断してしまうのです。(俺だけなのか...?)
横断歩道を渡ろうとして、向こうからハチ公バスが来たとします。 「バスはまだ遠くだし余裕で渡れんな、しかもハチ公バスだし」と判断してちんたら歩いて渡ろうとすると想像以上にバスが急接近してきて毎回びびる、というミスをすでに何度も犯してしまっています。ハチ公バスだって普通のバスと同じ速度で走っている訳なので当然と言えば当然なのだが、見かけにだまされてしまう。

ハチ公バスは小型ノンステップバスで、車イスの人も乗車することができる、それ自体は高機能で素晴らしいデザインです。渋谷区のイメージ向上にも一役買っているだろうし、子どもにも人気がありそう。実際便利だし。で、逆に考えると、ものすごい高機能な製品に敢えて子ども向けのかわいいビジュアルデザインをすることで、実際の機能とのギャップが生まれユーザーに新鮮な驚きを与えることができるのではないだろうか。高機能な最上位機種にブラックやシルバーの配色を施し、下位機種に色鮮やかなカラーバリエーションというパターンはもう古い。これからは最上位機種こそおもいっきりファンシーに!

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このブログ記事について

このページは、yamagraが2009年6月14日 22:09に書いたブログ記事です。

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