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[column] デザインが新聞を救う

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デザインが新聞を救う

「インターネットは新聞を殺すのか?」なんて言われていますが、僕も遥か昔に新聞を取るのをやめてしまいました。そんな中、世界で最も優れたデザインの新聞に贈られるというSNDアワードを受賞したこともあり、今は「Bonnier Business Press」という新聞(このウェブサイトのデザインも素晴らしい)のアートディレクターをしているJacek Utko氏は、「デザインこそが新聞を救う」と主張している。
単なる情報だったらネットで十分だし、むしろネットの方がより詳細な情報、関連する情報、動画までもが簡単に見れるし、そういった情報量やスピードでは新聞はネットには到底及ばない。ただ、そんな中でも自分がご贔屓の野球チームが優勝したときはネットの情報だけでは物足りなくて、翌日スポーツ新聞を買いにいって大事に保存してます、という人も多いだろうし、かくいう僕もそうで、自分にとって特別な体験を与えてくれる物を、実際に「モノ」として所有したい、というのは人間の根源的な欲求だと思います。

Jacek Utko氏曰く、
「デザインは紙で購読する最後の理由かもね。新聞がカンバスなら、写真と活字とチャートは絵の具。新聞ではない、ポスターだ」
素晴らしい。この考えには大賛成。僕は音楽がどれだけMP3のようなデータで流通しようがアナログレコードは無くならないと思うし、格好いいジャケットは画像データじゃなくてレコードジャケットで欲しい。スクリーンセーバーにしたくなるような美しいウェブサイトもあるが、ポスターにしたくなるっていうのは新聞にしかできないことだと思う。デザイナーとしても、自分でデザインした物が始めて「モノ」になって、実際に手に取ったときの感動は、デザイナーなら誰もが一度は味わったことのある共通体験だと思います。

単なる活字の羅列ではなく、美しいポスターの様な新聞。便利さを追求することだけがデザインの仕事じゃないし、僕らは便利な物を所有するから幸福感を感じるわけでもない。実際このリデザインで新聞の売上も飛躍的に伸びたらしい。そういえば、最近日本でも朝日新聞が始めた「朝日新聞グローブ」という新紙面があるけど、あれも従来の新聞には無い、斬新なデザインで、朝日新聞ちょっと取ってみようかな、という気にさせられる素晴らしいデザイン。

新聞には新聞でしか与えられない価値がある。それをデザインの力で掘り起こして、ユーザにも大いに受け入れられたなんて、改めてデザインのパワーを感じさせる何とも素敵な話ではないでしょうか。

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このページは、yamagraが2009年4月14日 22:53に書いたブログ記事です。

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